A&Rとしてアーティストに寄り添い、誰かの心を動かすプロモーションをめざして

A&Rとしてアーティストに寄り添い、誰かの心を動かすプロモーションをめざして

ポニーキャニオンの音楽事業本部 A&R2部に所属する横場 崇宏。アーティストのクリエイティブに寄り添いながら、より多くの人に楽曲を届けるためのプランニングを担うA&Rとして活躍しています。「音楽が好き。だからアーティストを支える仕事がしたい」という熱意が仕事への原動力となっています。

バンドマンを諦めたからこそ、音楽を支える側になりたかった

▲音楽事業本部 A&R2部の横場 崇宏。バンド活動で使っていた楽器は今も大切に手元に残しています
▲音楽事業本部 A&R2部の横場 崇宏。バンド活動で使っていた楽器は今も大切に手元に残しています

横場が音楽を意識したのは、小学生時代。洋楽ハードロックが好きだった父親の影響で、小学5年生でエレキギターをはじめ、ロックバンドの音楽にどんどん魅了されていきます。そんな彼が、自分もバンドをやりたい、人前で演奏してみたいと思うまでに、そう時間はかかりませんでした。

横場

中学1年になって、同級生とバンドを組んだんです。それをきっかけに高校、大学とずっとバンドを続けていました。家で聴いていたのが洋楽だったので、最初は洋楽のコピーからはじめました。

その後はギターロックに傾倒してオリジナル曲をやるようになり、バンドの形態はスリーピース、フォーピースとさまざまでしたが、自分たちで自主制作盤を作り、下北沢や渋谷のライブハウスでライブ活動をしていました

バンド活動に情熱を燃やしていた学生時代。プロのミュージシャンになりたいという夢を持っていましたが、大学生活とバンド活動を両立するうちに、その夢は少しずつ遠のいていったと言います。

横場

一生懸命やってはいたのですが、大学生活が後半になるにつれ、このまま続けていくことに迷いが出るようになっていったんです。周りのバンドマンを見ていても、音楽だけで食べていけるようになるのはとても厳しい。家族も僕の好きにさせてくれてはいましたが、大学在学中に何かしらの兆しがないのであれば、就職はしてほしいという空気も感じてました。

音楽からは離れたくありませんでしたが、就職せずにアルバイトをしながら成功するまでバンドを続ける勇気がなかったんです

そこで彼は、1つの結論を出します。

横場

どうせ就職するなら、好きな音楽に関わる会社をめざそうと思ったんです。ミュージシャンにはなれないけど、ミュージシャンを支える仕事ならできる!ぜひやりたい!と、レコード会社、テレビ局、ラジオ局など合計10数社ほどにエントリーシートを送りました。

その中で一番最初に内定をいただいたのが、ポニーキャニオンだったんです。結果的に、自分がめざしていた音楽制作に携わることができて幸運でした

マーケティングを経験し、エンターテインメントビジネスの厳しさを学ぶ

2009年に入社をして、最初に配属されたのは福岡営業所。レコード店やレンタルショップにCDやDVDなどを売り込むという営業職を経験して東京に戻り、同じく営業職として都内の主要店舗を担当しました。

それまで音楽にはわりと詳しいという自負はありましたが、さまざまな商品を手がけることで、映画やアニメ作品にも詳しくなりました。最初からクリエイティブ職ではなく、営業からスタートできたことは、ビジネスを知る意味でもいい経験だったと思います

営業で経験したビジネス的視点は、次の異動先となったアニメ・映像作品のマーケティング部署、そして音楽マーケティング部署でより明確に刻み込まれました。

横場

今は音楽も映像も配信がメインになりつつありますが、当時のパッケージ商品は例えば新曲のCDを購入してくれた方を招待するファンイベントの実施など、施策を通じて“数字”を伸ばすことに重きが置かれていたので、デスクワーク以外にも毎週のようにCD販促イベントを取り仕切る現場で奔走していました

「大変な日々でしたが、そのぶん学ぶことも多かったです」と笑う横場。その1つは、作品を世に残し、広げるためには売り上げがいかに大切か。エンターテインメントをよりビジネス的視点から、俯瞰して見られるようになったことです。

横場

エンターテインメントを仕事にするとは、こういうことなんだと学びました。音楽でいえば、いい楽曲を作り、いいライブができていれば満足でも、結局売り上げが上がらなければ、次につなげることができない。それを身を以て知ることができたのは、マーケティングの仕事を経験したからこそです。

さらにアニメジャンルでは、イベントを行うだけでなく、そこでオリジナルグッズを作って販売する経験もしました。それがファンの方たちに喜んでもらえて、パッケージの他にも売り上げにつながる。音楽とは違うビジネスの仕方があるのだと、とても勉強になりました

同時にやりがいも感じました。

横場

特に嬉しかったのは、アニメのマーケティングを担当していたときです。アニメは作品に関わるスタッフがワンチームで動くので、音楽好きの僕も選曲会議に参加させてもらえたり、アーティストと打ち合わせをすることもあり、クリエイティブな経験もさせてもらいました。

また仕事の半分はイベント現場だったので、作品を受け取ってくれる人たちの顔を見られたことも大きかったです。ときには、ご意見やご指摘を受けることもありましたが、だからこそ売る側としての責任感も生まれましたし、喜んでくれるファンの方たちを見ることが、やりがいにつながりました

A&Rとしてのスタートはビッグアーティストのプロモーション

▲社内のプレビュールームで撮影。7.1ch/Dolby Atmosなど、Blu-rayをはじめとするパッケージ商品のサラウンド再生・検証を行うことができます
▲社内のプレビュールームで撮影。7.1ch/Dolby Atmosなど、Blu-rayをはじめとするパッケージ商品のサラウンド再生・検証を行うことができます

そして2015年、入社6年目で音楽事業本部 A&R部に配属されます。アーティストを制作という立場で支えたいという想いをずっと持ち続けていた彼にとっては、ようやく願いが叶いました。

A&Rとひと口に言ってもチームによって役割はさまざまですが、横場が担当しているのは、それまでの営業やマーケティングの経験を存分に生かせる宣伝プロモーションのプランニング。異動してすぐに、GLAYとA.B.C-Zを手がけ、現在も担当が続いています。

横場

プロモーションのプランニングは、アーティストによって手がける内容が異なります。A.B.C-Zに関しては、マネジメントチームと協同で年間の楽曲リリースからプロモーションプランまでをトータルで考えていきます。

GLAYの場合は新譜のリリースプランが定まった段階で合流し、プロモーションプランをメンバーやマネジメントに提案するケースが多いです。A&Rとしては新人だった僕が、もう10年間もビッグなアーティストを担当させてもらえているのは、ありがたいことです。そのぶん、自分が企画したプロモーションは、絶対に成功させなければいけないという、いい意味でのプレッシャーも感じています

楽曲をより多くの人に届け、アーティストを愛してくれる人を増やすという意味で、最も重要な役割を担うのがプロモーションです。特に“アーティスト担当”という立場は、責任も重いと言う彼が、プロモーションプランでこだわっていることは何でしょうか。

横場

例えば告知のスポット映像も、今はSNSで拡散されることが多いので、ファン以外の方が目にする機会も多くなりました。そこで大切にしているのは、アーティストを知らない方が観ても“なんかグッとくる”“なんかおもしろい”“観ていてワクワクする”という気持ちになってもらうことです。

それが映像のおもしろさなのか、アーティストの強みをキャッチコピーにして届けることなのかは、今も試行錯誤している最中ではありますが、アーティストにしっかり寄り添って興味を持ってもらえるよう、誰かの心を動かすことは意識しています

アーティストのまだ知られていない魅力をもっと伝えたい

「A&Rとして、まだまだ学ぶことが多く日々挑戦の連続です」と語る横場。アーティストや若手社員から学ぶことも多いと言います。

横場

最近、40代手前の自分にはわからない感覚も増えてきたなと感じています。もちろん勉強はしますし、知識や成功事例として理解しておきますが、やはり20代の感性は同世代のほうがつかみやすい部分もあります。

だからこそ、アーティストや若手社員の意見を大切にするようにしていますね。一方で、自分は会社の先輩たちから教えてもらったことや、これまでの現場で凄いなと感じた経験、自分の中にある財産を大切にしながら仕事に生かしています。

あと、ファンのみなさんに一番喜んでもらえることは何だろう?と考える中で、バンドをやっていたころの自分なら何が嬉しいかを想像することもあります。そんな発想から生まれた施策が好評で、ファンのみなさんからたくさんの嬉しい言葉をいただいて、やって良かったなと心から感動しました

そんな彼が、今後の目標についてこう話します。

横場

まずは、現在担当しているアーティストとの仕事を長く続けていけることですね。そのうえで、アーティストの魅力をもっと世の中の人に知ってほしい。それを全力でサポートしたいという気持ちがずっとあります。

新人アーティストに対しては、『こういうふうになったらおもしろいよね』とか一緒にアイディアを考える人であり、夢に向かって寄り添っていく存在でありたいです。以前は、まだ誰も知らない新人を発掘して、大ヒットを創りたいという考えもありましたが、それだけがA&Rの醍醐味ではありません。今の自分にできること、アーティストに役立てられることを地道に努力していきたいです

※ 記事の部署名等はインタビュー当時のものとなります

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