クリエイターの熱い想いを、世界中のアニメファンに届けるために
魅力的な作品のクリエイティブを多くの人に伝えたい。その夢を叶えるためポニーキャニオンに入社し、TVアニメ『進撃の巨人』、TVアニメ『東京リベンジャーズ』や声優アーティスト・鬼頭 明里の宣伝を担当する照屋 知加。万人を魅了するアニメ文化を人と人をつなげながら届ける。その想いは “世界”へと広がります。
大学時代、新聞サークルで“伝える”喜びを知る
数多くのアニメ作品に触れ、宣伝という仕事を通じて、アニメ愛を日々深めている照屋。ですが幼少時の彼女とアニメを結ぶ糸は、それほど太いわけではなかったといいます。
照屋
私が育った沖縄県には地上波の民放が3局しかなく、中学から高校くらいに世の中でブームになっていった深夜アニメなどは、もちろんリアルタイムでは放送されていなくて。国民的なアニメは楽しくて大好きでしたが、アニメカルチャーにどっぷりと浸るようになったのは、関西の大学に進学してからでした
大学に入ると熱心なアニメファンの友人も増え、新しい世界が広がりました。
照屋
ただ、『私もアニメ好きだよ!』と話をするのですが、友だちが話題にする深夜アニメや人気作品のことはほとんど知らなくて(笑)。“そんなにおもしろいアニメがたくさんあるなら、私も!”と、どんどんハマっていったんです。『進撃の巨人』が始まったのもその頃ですね。まさか自分が将来『進撃の巨人』に関わるようになるとは、夢にも思わなかったです(笑)
あくまでいちファンとしてアニメを楽しんでいた照屋。実は将来就きたい仕事は、別にありました。
照屋
志望していたのは、マスコミ系です。報道、ジャーナリズムに興味があったので新聞サークルに入り、就職するなら新聞社かなと漠然と思っていました。でも自分が本当にやりたいことはなんだろうと考えたら、例えば……何かに批判的な記事を書くようなことはすごく苦手だなとわかったんです。
大学にはいろいろな学生がいて、小説家を目指している人、お笑い芸人を目指している人など夢に向かって一生懸命な人を取材する機会も多くて、そういう人をポジティブに応援する記事を作るときが、一番楽しくてやりがいがありました
なかでも印象深く思い出すのは、大学在学中に書いた処女作で出版デビューし、2作目の『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』がテレビアニメ化を果たした小説家・武田 綾乃さんへの取材でした。
照屋
武田さんは学部は違いますが、私と同学年。あとで『響け!ユーフォニアム』がアニメ化されることを聞いて、ものすごく嬉しかったです。自分が取材した人が、大きく羽ばたいていくプロセスに立ち会えたこともそうですが、その活躍を広く誰かに伝えることの楽しさをとても感じました
幅広い“クリエイティブ”と“人”に関わりたいと、ポニーキャニオンに転職
そして照屋は、希望する就職先も方向転換しました。マスコミ系にこだわらず、何かの魅力を伝える“宣伝”の仕事に就きたいと考え、エンターテイメント企業はもちろん、一般企業やものづくりに携わるメーカーなど“宣伝”に携われる企業を中心に就活を仕切り直し。アニメ企画プロダクションに入社が決まり、宣伝部署で経験を積むことになりました。
照屋
好きなアニメに携わることになり楽しく仕事をしていましたが、入社から1年半くらい経った頃にアニメ業界も状況がどんどん変化し、メディアミックスが以前より盛んになってきました。同じ原作によるドラマや実写映画、2.5次元舞台やアーティストとのコラボなども積極的に行われるようになるのを見て、自分が宣伝できるものがアニメ作品に限られていることをもったいなく感じるようになったんです
照屋は、より幅広いクリエイティブに関われるよう、ステップアップを考えました。そこで目にしたのがポニーキャニオンの第二採用の求人募集、2019年のことです。アニメ宣伝のスキルを活かせるだけでなく、音楽や映像、イベント制作など幅広いエンタメ分野で宣伝を経験するにはベストな場だと考えました。
照屋
もっとたくさんの“人”と関わる仕事がしたいというのも、ポニーキャニオンのような大きな企業を転職先に考えた理由です。実は新卒で就活に励んでいたときは2回受けてはいたのですが、そのときは残念ながらご縁がなくて。ずっとポニーキャニオンで働いてみたい!という夢を持ち続けていました。叶ったときはとても嬉しかったです。3度目の正直です(笑)
配属されたのは、アニメ・映像事業本部のアニメ・映像プランニング部。宣伝企画やプロモーション計画の立案をメインに、作品のWebサイトやYouTubeチャンネル、SNSの開設と運用、関連イベントの企画制作、取材のセッティング、キャスト出演による生配信番組の企画制作など、その仕事内容は多岐にわたります。
照屋
入社して感じたことのひとつは、私が求めていた“人”との関わりや広がりを、いろいろな場面で実感できたことです。以前の職場は、企画担当者と宣伝だけで、その他は外部の会社だったんです。あと完全に分業だったので、宣伝としてやりたいことを実現できる機会も少なかった。
でも今は作品を創り、ファンのみなさんに届けるまでのすべてのことが、1社内で完結します。他部署とのコラボレーションも盛んですし、コミュニケーションも取りやすい。突発的なアイデアや意見も言いやすい環境なので、新しいことにもたくさんチャレンジさせてもらえています
『進撃の巨人』と『東京リベンジャーズ』で実現した新たな挑戦
「仕事の幅が広いので忙しさもありますが、それ以上のやりがいを感じています」と明るく笑顔で話す照屋。転職後、最初に宣伝を担当したアニメ作品もプレッシャーのかかる大作でした。
照屋
『進撃の巨人』です。私が宣伝アシスタントで入社した2019年の4月から、Season3のPart.2の放送がスタートしました。物語的に世界の真相が明らかになる大切なシーズンでしたが、『進撃の巨人』に限らずアニメ作品は基本、製作委員会制で作られるので、やりたい企画がすぐ通るわけではないんです。
制作側とのコミュニケーションを大切にしながら、しっかり戦略を立てなくてはいけない。ビジネスとしてのプレッシャーも大きく、実現する難しさも改めて学びました
その『進撃の巨人』は人気と話題を拡大しながら、2023年11月4日放送の「The Final Season完結編(後編)」で10年間にわたるTVアニメシリーズがついに完結しました。特に有終の美を飾る「The Final Season完結編(後編)」オンエア前は、学生時代から親しみ続けてきた作品を関係者として見届けられることに感動しながら、過去最高のプレッシャーと戦ったと振り返ります。
照屋
TVアニメの最終回が単発で放送されるのは、そもそも異例です。普段なら放送クールの1〜3ヵ月ほど前から情報公開に集中し、放送中に盛り上げて……という戦略が取れますが、今回の放送チャンスは1日だけ。
そこに過去最高の盛り上がりを作らなければいけない。放送日が確定してからは、宣伝プロデューサーの片山さんと一緒に、SNSの毎日投稿を始め、宣伝素材を作り、講談社さんと北九州に通って航空会社・スターフライヤーさんとの『進撃の巨人 スペシャルジェット』コラボレーションを仕込み、1月のイベントの準備も進め……と毎日が本当にめまぐるしかったです
放送当日も北九州空港での『進撃の巨人 スペシャルジェット』就航イベントに出席し、すぐ東京にとんぼ返りして、YouTube生放送を実施。もっと盛り上がりを作りたい!と急遽決まったアニメ公式「X」アカウント上での24時間カウントダウン投稿にも全力を注ぎました。
照屋
無事にオンエアを迎えられたときは、本当にホッとしました。放送後の反響も私が経験した過去一番の大きさで。もちろん最終回が素晴らしい内容だったこともありますが、いろいろな方から『お疲れ様』という言葉をいただいて、めちゃめちゃ嬉しかったです。新しい宣伝方法にも挑戦できて、とても勉強になりました
2020年に放送開始し、2022年からは宣伝プロデューサーという立場で携わっている『東京リベンジャーズ』でも積極的なアプローチにより、業界ではあまり例がない、製作委員会が異なる実写映画とのコラボレーションが実現しました。
映画の製作委員会にポニーキャニオンは参画していませんが、約3年間、実写の製作委員会と打ち合わせを重ねました。そして2023年の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-/-決戦-』が、TVアニメの聖夜決戦編、天竺編の放送の合間での公開が決まり、ここしかない!というタイミングでアニメキャストと実写キャストのコラボ動画が作れたり、ラジオに映画キャストや監督さんたちにご出演いただけたり。
3年越しの夢が叶ったことも感動でしたが、社内の他部署や他社さんからも『どうやったら、そんなコラボができるの』という質問をたくさんされましたね(笑)
ファンの声に寄り添いながら、夢は“世界”へ!
それまで未経験だった声優アーティストの宣伝も手がけるようになります。入社後すぐに、アーティストデビューを4ヵ月後に控えていた鬼頭 明里のチームに合流。2024年で宣伝担当も5年目になりました。アニメの宣伝は“対作品”ですが、アーティストのプロモーションは“対人間”。アーティスト本人が何を表現したいかを宣伝を通して形にする仕事です。照屋が求めていた“人との関わり”を最も大事にしなければなりません。
照屋
大切にしているのは、やはり本人とのコミュニケーション、1対1で向き合うことです。私はもともと人見知りなので、鬼頭さんと打ち解けるまで、ご本人のSNSやラジオでのトークから興味のあることや好きなことを知ることで、気持ちを高めてもらえる環境を作ることを大事にしました。
一番印象に残っているのは、2020年の1stワンマンライブツアー『鬼頭明里1st LIVE TOUR Colorful Closet』の初日前。普段は不安を顔に出さない鬼頭さんが、『緊張します、大丈夫かな?』と本音を聞かせてくれて、『大丈夫ですよ!』と励ましたり、当日も緊張がほぐれるように楽屋でおしゃべりをしたりしたんです。ライブ後に笑顔を見せてくれたときは、とても嬉しかったですね
アニメ作品でも音楽でも“宣伝”は「作り手の想いと熱量を、愛をもって伝える仕事」だと照屋は実感しています。
照屋
最近は海外でもサブスクリプションサービスなどを通じて、ほぼリアルタイムで日本のアニメを観てもらえるようになり、海外ファンの声がダイレクトに届きます。日本はキャラクターや声優への愛が強く、海外では制作者の声を聞きたがっているという違いも理解しました。これからは国内だけでなく、海外ファンにも寄り添った宣伝方法を考えていきたいですね
個人的にも、さらに挑戦してみたい分野が増えました。
照屋
今まではTVアニメシリーズしか経験してこなかったので、次はぜひ劇場アニメの宣伝にも取り組みたいです。作品も得手不得手なく、シリアスなものからラブコメティ、ほっこりと楽しめる作品までいろいろなジャンルを体験したいです。情報解禁がこれからの作品がいろいろ待っているので、世界中のみなさんが“いいアニメに出会えて良かった!”と思ってもらえる宣伝を頑張っていきたいです
※記事の部署名等はインタビュー当時のものとなります。
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