やりがいと成長を感じながらヒットをめざす音楽A&Rという仕事

総合エンターテイメント企業ポニーキャニオンで、音楽A&Rとして活躍する新谷 佳輝。プロフェッショナル集団の魅力に惹かれて入社し、幅広い業務を通じて、スキルを磨き続けています。多彩なエンタメへの愛情と裏方としての想いを胸に、彼が歩んできた道のりを振り返ります。
エンタメへの向き合い方が大きく変わった大学時代

“どっぷり浸かったものを布教する”。新谷のエンタメ人生をひと言で表すなら、そんな言葉がよく合います。子どものころからテレビのお笑いバラエティが大好きだった彼は、大学入学直後、一気に“どっぷり浸かる”世界に足を踏み入れました。
最初は日本語ラップ。テレビ番組でヒップホップアーティストが制作していたオリジナルBGMがSoundCloudで公開されていたのを聴き、他の日本語ラップナンバーにも感銘を受けたのです。
新谷
ヒップホップは高校まで漠然となんか怖いなという印象があったのですが、実際にしっかり聴いてみるとメロウで聴き心地の良いトラックがたくさんあったし、以前から短歌や詩といった言葉を扱う芸術が好きで、ラップにも自然と惹かれて聴くようになりました。
自分は関わらないだろうと思っていたものでも、自分が成長していく過程で受け取り方や捉え方が変化していく。それを感じてから、エンタメへの関わり方もより深くなっていきました
そこからは、意識的に今まで観てこなかったジャンルの映画、聴いてこなかったジャンルの音楽も積極的に摂取し始めます。大学時代には音楽好きの友だちに誘われて、インディーズのバンドやシンガーソングライターのライブにも通うように。「それがめちゃめちゃ素敵な時間で!」と音楽の世界にもどっぷり浸るようになりました。
新谷
いわゆるメジャーではなく、インディーズのアーティストなので周りの友だちにはまだあまり知られていなくて。でもその良さを伝えたくて、『最近聴いているアーティストはこれで、ライブがやばくて!』と言い続けているうちに、『聴いたらめっちゃ良かった、なんで知っていたの』と興味を持ってもらえるようになったんです。
それが純粋に嬉しかった。『新谷は人に好きなものを伝えるのが上手』と言われる機会も増え、自分が得意なことってこれなのかなと思うようになったんです
ライブを生で観てどっぷりハマったものが他にもありました。それが大学お笑いです。高校時代、テレビとはまた違う深夜の芸人ラジオというカルチャーに出会った彼は、お笑いというジャンルにより夢中になっていきました。
大学入学後に入ったお笑いサークルに関しても、最初はサークル活動にまったく興味がなかったものの、ある日サークルのお笑いライブを観たことがきっかけで、このときもエンタメへの向き合い方を変えることになりました。
新谷
大学の新入生歓迎会の一環でお笑いライブを観ることになったのですが、めちゃくちゃおもしろくて衝撃を受けました。学生の段階でこんなにおもしろくて、人を笑わせることができるんだって。
結局、先輩や同期などと話しているうちに居心地がよくなって僕もお笑いサークルに入り、4年間、漫才やコントなどをやっていたんです。だけど卒業後は芸人の道に進もうとは思わなくて、お笑いで勝てないなという人をたくさん見てしまったので(笑)。
その後実際にプロになった同期を見ていて、将来彼らと一緒に仕事ができるようなディレクターやプロデューサーなど裏方の立場で関われたらいいなと思うようになりました
ポニーキャニオンにはハイレベルのプロを育てる環境があると思った

大学卒業を控え、就職をするなら、好きな音楽やいろいろなエンタメを伝えること、演者として頑張っている人を支えることを形にできる企業がいいと就職活動に挑みます。とにかく多くのことを知るのが先決と積極的に行動しました。
新谷
自分が知っていたり、ちょっとでも興味を持ったりした会社は、ひと通りあたりました。あらゆる業種の会社説明会に行きましたし、職場体験ができる短期インターンみたいなものも行ける限り行ってみました。就活の時期って誰もが、資料を眺めながら“この仕事は自分に向いているのだろうか”と考え込みますよね。でも1日中考えていると自分は答えが出なくて、余計わからなくなってしまうタイプで。
だけど説明会に行ってしまえば、短い時間で集中してその会社に向き合えるし、社員の方の雰囲気やテンション感というものを肌で感じられるので、率直に“ここはいいな。ここはちょっと自分とは合わないな”というのがなんとなくでもわかる。考え込んでいるより、そういう経験を何回も重ねた方が早いと思いました
そんな活動のなかで、最も働くおもしろさが感じられ琴線に触れた芸能プロダクションやレコード会社などエンタメ企業に的を絞っていきました。
新谷
結果的に、複数の総合エンタメ企業から内定をいただいた中でポニーキャニオンが、一番あらゆるジャンルでしっかり強いヒット作があり、そのどれもレベルが高い。
音楽が第一志望ではありましたが、映画やアニメにも興味があったので、もし音楽の仕事に就けなくても映画やアニメのプロフェッショナルとして一人前になれる環境があると思い、入社を決めました
そして入社2年目。念願だった音楽事業本部に配属となり、A&R(アーティスト・アンド・レパートリー)として一歩を踏み出しました。A&Rとは、所属レーベルのアーティストの発掘・育成・楽曲制作・宣伝戦略などに関わる仕事です。
新谷
A&Rの業務領域や内容は、チームによっても千差万別なのですが、僕の仕事は基本的には所属アーティストの宣伝担当でした。リリースやライブ活動などもろもろのプランを、アーティスト本人やマネジメントと話して方向性を定め、さまざまな方々の協力を仰ぎながら実現させていくのが仕事です。
A&Rになりたてのころは、キャリアのあるバンドを担当し、主にサポート業務を行っていました。また、僕の部署は新人アーティストも在籍しているので、マネジメントも兼務して制作進行に関わったり、ポニーキャニオン所属外のアーティストのライブ制作やグッズ制作にも携わったり。
ときには音楽と直接関係のないサウナグッズの制作や、映画の宣伝、そして自ら企画して開催したお笑いライブの実施など、とにかくいろいろな経験をさせてもらえました
「失敗を恐れずガンガンいけ!」上司の言葉で成長できた

入社間もなくして、新人ながらも多種多様な業務に携われたことがスキルアップにも大いに役立ちました。
新谷
僕の所属している部署はベテランで心強い上司たちと、20代半ばの自分くらいの年齢の社員が多くて、上司が若手に対して『とにかく君らが次を作っていくんだ、わからないことは聞けばいい、失敗を恐れずガンガンやってくれ』という感じでいろいろなことを任せてくれるんです。『新人発掘もどんどん挑戦していい』と背中を押してもらっていたので、僕もまったくのゼロベースからライブに足を運んで、アーティスト本人やマネジメントと話し合って、提案書を作って……みたいなこともするようになって。
日々の業務の中では、楽しいことだけじゃなくて、大変なこと、しんどいこともいっぱいありますが、それ以上にやりがいとか、“今楽しいな”っていう実感もあって、自分の成長をとても感じられます
そこからキャリアを積み上げ、入社5年目となった2024年度は、新谷が千差万別と表した業務領域もますます広がってきています。
新谷
ここ半年くらいは、音楽制作そのものにも深く関わるようになりました。宣伝A&Rの仕事だけだと、どんな楽曲を作っていくかの提案はできても、直接的な制作のディレクションと最終的なジャッジをしていくのは制作担当です。
今は、自分が制作担当としても、チームのみんなと“こういうものを作ろう”と決め、そのクリエイティブをどう届けるか、プロモーションをこうしていこうというのを、一気通貫で考えて実行できるようになりました。アーティストや作品にこれまで以上に全身全霊で向き合う日々には、大きなやりがいを感じます
また、担当するチームに後輩が加わり、自身が先輩として何ができるかを考えるようになりました。
新谷
自分が先輩にしてもらったことを、今度は後輩にやってあげようと思いました。僕も何もわからないまま今の仕事に就いたので、新人時代は先輩の手を煩わせるのが申し訳なくて聞きづらいこともありましたし、あとから“本当はこれを教えてほしかった、知っておきたかった”ということもよくありました。
そういう思いをしてほしくはないので、できる限りのサポートは意識しています
さらに今は、チームの一員としての考え方も変わってきています。
新谷
仕事が立て込んでくると、自分のことで精一杯になり、もう手が回らないという状況も出てくるんです。そういうとき、手がつけられない仕事を後輩にお願いすると、しっかりそれをやってくれるんです。
先輩・後輩は関係なく、同じ仕事に向かっているみんながチームに必要な存在なのだから、任せられるところは任せようと最近気持ちが変化してきました
めざすはヒットへの責任と覚悟を持ったプロデューサー

自分でアーティストを発掘し、育てながら作品を作り上げ、たくさんのリスナーに広め、届ける。それは新谷が“自分の好きなものを伝え、頑張る人を支えたい”と思ったエンタメ業界をめざすきっかけから、しっかりと地続きになっています。
新谷
まだまだ探り探りですし、わからないこともたくさんあるんですけど、そんな中でも挑戦できる環境や役割を任せてもらえているのは、すごくありがたいです
そう笑顔で語る彼は、これからポニーキャニオンでチャレンジしたいこと、為し得たい仕事にも夢が膨らんでいます。
新谷
今は仕事としてやらせてもらっていることの幅が広いので、いつかはプロフェッショナルとしての軸足を、自分で決めなければならなくなると思うんです。宣伝を極めるのか、制作を極めるのかも含めて。もしかしたら半年後、1年後には言うことが変わってしまうかも知れないのですが(笑)。
現時点の僕の考えでは、今一番身近に考えられるのは音楽ですが、ジャンルを問わず大きなヒットを創り出せるようになりたいです
その目標について、さらに考えていることがあります。
新谷
やはり、こういう仕事に携わっている限り、絶対に“ヒット”というのがゴールになると思うんです。じゃあ、どういうものを作ったらよりヒットの確度が高まるかという、自分なりの仮説、分析が必要。
ですが、それをやった上でどれだけ自分がいいと思ったものを作っても世に届かないことはある。それはユーザーだったときも、今仕事をしてもすごく感じることです。
だからこそ責任を持って、届け方も含めて考えるべきなんですよね。そういう覚悟とか責任を持ったプロデューサー、ディレクターになれたらいいなと思っています
そんな新谷は今、音楽制作からプロモーションまで一気通貫で育成中の新人アーティストの仕事に邁進しています。まだまだ手探りの連続だと言いますが、モチベーションが途切れることはありません。
新谷
入社1年目に比べると、できることも成功体験も増えました。壁にぶつかっても、昔は“うわっ、どうしよう”とテンパってストレスを感じていたのですが、今も仕事を任せてもらえているのは、なんだかんだ乗り越えられたからだと思うんです。5年目の今は気持ちも安定して、“これを乗り越えたら自分はもっと強くなれる”と思えて、むしろ燃えてくるようになりました(笑)。
リスペクトする上司、先輩にも支えてもらえているポニーキャニオンでの仕事を選んで、本当に良かったなと思います。これからは、僕も後輩を信頼して協力しながら、自分もより成長していければと思います
※ 記事の部署名等はインタビュー当時のものとなります
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